ドラマ【SHOGUN-将軍-】のシーズン1を視聴し考察&ポイントをまとめました!
時代背景
この物語の舞台は太閤亡き後の1600年ごろの日本。
SHOGUNでは歴史上の人物をモデルにしたオリジナルキャラクターたちが、物語を繰り広げます。
この頃、世継ぎである太閤の息子がまだ幼年のため五大老たちが政治の実権を握っています。
この時代はまだキリスト教は厳格に禁止されておらず、大名などの権力者もキリスト教を信仰している人が多くいました。
物語に出てくる権力者「五大老」のうち2名もキリシタン。
キリスト教の宗派には複数あり、この頃のヨーロッパでは、下記の2派の対立が激化していました。
プロテスタント:イギリス
カトリック:ポルトガルとスペイン
当時の日本にいた外国人はポルトガル人ばかりだったため、英国人、ジョン・ブラックソーン(のちの安針)がポルトガルを友好国とする日本の政治にも影響を与えていきます。
落葉の方は淀殿(茶々)がモデルとなっており、太閤(秀吉)の子、つまりお世継ぎを産んだ唯一の側室として女性ながらに五大老にも影響を及ぼすほどの強い権力を持っていました。
落葉の方は虎長(家康)を我が子の立場を脅かす存在として見ており、五大老の石堂(石田三成)と手を組み虎長を弾劾する術を常に狙っています。
登場人物&モデルとなった人物
⭐️(カッコ)内はモデルとなった人物
・吉井虎永(徳川家康):関東の領主であり、五大老の1人。
・ジョン・ブラックソーン/按針(ウィリアム・アダムス/三浦按針)
・戸田鞠子(細川ガラシャ):戸田広勝の妻。キリシタンでポルトガル語を話す。
・樫木藪重 (本多正信):虎長の家臣。
・石堂和成 (石田三成):五大老の1人。大阪城を取り仕切っている。
・中村秀俊/太閤(豊臣秀吉):天下人
・落葉の方(淀殿):太閤の側室。八重千代の母。
・戸田広勝/文太郎(細川忠興):虎長の家臣。戸田鞠子の夫
・マルティン・アルヴィト司祭/パードレ(ジョアン・ロドリゲス):ポルトガル人のカトリック教会司祭
・佐伯信辰:虎長の異父弟
・大蓉院(高台院):太閤の正妻
安井虎長というキャラクター

SHOGUNの主役、吉井虎長は徳川家康がモデルになっています。
家康は「鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす」という句もよく知られているように慎重で忍耐強い人というイメージが強いです。
しかし、SHOGUNの中で描かれる「安井虎長」は、冷酷な一面も強く描かれています。
確かに、天下を取るような人物が、ただ「慎重で忍耐強い」だけであるはずがない。
大胆な決断力や、非情さも持ち合わせているはず。
このドラマではそんな家康の複雑なキャラクターを、「安井虎長」という人物を通して繊細に表現していました。
「紅天だ」とはやる臣下たちを抑え、「戦はしない」と言い続ける一方で、腹の中では全く別のことを考えていて天下を取るために最も近しい友人の広松や大切な家臣である鞠子を犠牲にするような手段を選ばない一面もある。
このドラマに出てくるどのキャラクターもそうですが、変に美化されていない。それでいて魅力的で、ものすごくリアリティがある「安井虎長」は、これまで数多くの作品で描かれてきた「徳川家康」を新たな切り口で描いていると言えます。
鞠子が果たした政治的/ストーリー上の役割
鞠子のモデルは歴史に名高いガラシャ夫人。高貴な生まれでありながら波瀾万丈な人生を送り非業の最期を遂げた彼女は海外でも有名です。
ドラマ『SHOGUN 将軍』において、アンナ・サワイ演じる戸田鞠子(とだ まりこ)は、単なる通訳やヒロインの枠を超えた、物語の「核」となる極めて重要な役割を担っています。
ストーリー面と政治的側面の2つの視点から、彼女の役割を整理します。
ストーリー上の役割:境界線に立つ「架け橋」と「真の主人公」
鞠子は、イギリス人の安針と虎長、全く異なる価値観を持つ者たちの間に立ち、物語を動かす中心的な役割を果たします。
文化的・言語的な翻訳者: ジョン・ブラックソーン(按針)と虎永の言葉を訳すだけでなく、日本の「武士道」や「宿命」という概念を按針と視聴者に伝える文化の通訳者です。
按針の精神的支柱: 野蛮な「外人」であった按針が日本を理解し、一人の侍として成長していく過程において、彼女は唯一無二の理解者であり、愛の対象でもあります。
政治的な役割:虎永の「秘密兵器(鷹)」
吉井虎永にとって、鞠子は盤上のどの武将よりも強力な「戦略的資産」です。
虎永は彼女を「自分の代わりに戦う鷹」に例えています。彼女の存在そのものが、大坂城に囚われている諸大名の家族を解放し、五大老の結束を崩すための政治的な爆弾となります。
キリシタン勢力との外交: 彼女がカトリック教徒であることは、キリシタン大名やポルトガルとの交渉において決定的な役割を果たします。信仰という共通言語を持つことで、虎永に有利な条件を引き出す外交官として機能しました。
さらに、反逆者の娘という汚名を着せられた彼女が、大坂城で自らの名誉をかけて戦う姿は、封建社会のルール(礼儀や名誉)を逆手に取って敵を追い詰める、高度な政治的パフォーマンスでもありました。
安針を想いながら、主君の虎長への忠義を命をかけて尽くした鞠子が
シーズン1であまりにも大きな存在感を放っていただけに、鞠子のいないシーズン2は物語がどのように展開していくのかがとても気になります。鞠子役を演じたアンナ・サワイさんはこの作品で、ゴールデングローブ賞 テレビドラマ部門主演女優賞を受賞しました!
安針のカルチャーショック
物語の中では安針がこの時代の日本の価値観に戸惑いを隠しきれないシーンが数々出てきますが、そこもありそうでなかった描写で良かったです。
時代劇や大河ドラマなんかではよく、日本人が海外の文化を知って「え〜!そうなの?」となるシーンはありますが、逆に海外の人が日本の文化を知ってどう感じたかがここまで深く描かれることはあまり多くはありません。
地位や名誉は一般的には価値があるもの、とみなされる部類のものですが、見知らぬ土地で見知らぬ文化の中で「これは価値のあるものなんですよ、すごいことなんですよ」といくら言われてもピンとこないですし本人にとってはあまり価値を感じられないですよね。
そんな安針ですが、鞠子を失いシーズン2ではどんな心境の変化を迎えるのでしょうか。
「紅天」とは何だったのか?
ドラマの中では「紅天」は「はるか昔に練られた策で、大阪城に一気呵成に攻め入る策」と説明されていました。
これまでの大老制度を廃し、虎長1人を大老(=将軍)とするためのチャンスだと。
意味合いとしては「(これまでの状況を一転させるほどの)千載一遇のチャンス」というニュアンスで使われています。
その分リスクもつきもの。これを仕掛けるか、仕掛けないかで虎長含め家臣たちは決断を迫られる場面が多々あります。最終的に虎長にとっての紅天は関ヶ原となるのでしょうが、虎長が描く「紅天」の構想が最終話で明かされます。
「紅天」はドラマの中の創作の作戦ですが、歴史上モデルになった策はあるのでしょうか?
はっきりとは明かされていませんので、勝手な予想ですが歴史上似ている策を2つ挙げます。
①源義経の「屋島の戦い」
義経は電撃戦でも知られており、この戦いでは海上戦の最中に義経軍が陸路を使ったため平家は虚をつかれ総崩れとなりました。
・敵が「来れない」と思ったルートを使う
・仕掛ける「タイミングと位置」が戦局を一変させた
という点が似ています。
②韓信の「背水の陣」
中国の漢の時代、名将・韓信(かんしん)が、川を背にして(退路を断って)兵を配置し、決死の覚悟で敵軍を破った故事に由来する言葉です。
・自陣は少数、敵は大軍
・あえて「背後が川」と言う逃げ場のない地形に陣を敷く⇨敵は油断して崩れる
と言う点が似ています。
ハリウッド作品なのに、セリフのほとんどが日本語の理由は?

この作品でセリフがほとんどん日本語で作られているのは、
真田さんが作品作りで最も重視したのが「Authenticity(本物であること)」だからであると言えます。
本作で主演とプロデューサーを務めた真田広之さんは、Forbesのインタビューでこう語っています。
この作品は約70%が日本語で、字幕付きです。正直、賭けでした。でも私たちは、観客の知性や想像力、そして異文化への好奇心を信じました。結果的に、観客はとても良い形で応えてくれた。そのことがとても嬉しいんです。 (Foebesインタビューより)
一般的にハリウッド作品では、舞台が海外であっても英語が使われることが多いです。
その流れの中で、日本語を前面に出す判断は、確かに挑戦的だったと言えるでしょう。
しかし「SHŌGUN」の舞台は、1600年の日本であり、武士や大名が英語を話す方が不自然です。
日本語を使うことで、当時の身分制度や緊張感がより自然に、そして説得力をもって描かれています。
言語そのものが、物語を支える重要な要素になっているのです。
さらに、「本物」を追い求める姿勢は言語だけにとどまりません。真田さんはこうも語っています。
”視覚的にも、すべてを本物にする必要がありました。
動き、小道具、かつら、衣装、セットデザイン——すべて正確でなければならなかった。だから“本物であること”が重要だったんです”
日本文化を正しく世界に伝えたいという想いが、日本語中心という大胆な選択を生み、『SHŌGUN』を唯一無二のドラマへと導いたのだと言えるでしょう。
ドラマの中でのポルトガル語=英語?
作中では、登場人物が「ポルトガル語で話す」と言う場面がありますが、実際はずっと英語で話されている点は少し混乱しました。
イギリス人であるブラックソーン以外のキャラクターは英語を話さないはずですが、今回の映像化にあたり英語圏の視聴者がメインになることを想定し、「視聴者の見やすさ」を優先して英語に置き換えられて表現されています。
安針以外の登場人物が英語を話しているとき、物語の世界ではポルトガル語を話していることになります。
まとめ
「SHOGUNー将軍ー」は人々の「生き様」「価値観」「文化」などいろいろな要素が複雑に絡み合い、精巧に作り込まれた作品でした。見るたびに新しい気づきや見方があります。
シーズン1はディズニープラスで全話独占配信中です。
原作が気になる方やシーズン2が待ちきれない方は書籍も合わせてぜひチェックしてみてください◎

